愛玩動物飼養管理士1級 / 株式会社LIKE TODO JAPAN製薬 代表取締役 / 神奈川県未病産業研究会会員 / 日本乳酸菌学会会員 / 日本食品免疫学会会員 / フードメディシンネットワーク会員 / バッチ財団登録プラクティショナー(BFRP)
私の愛犬「ゴウ」も夏に誕生日を迎えると15才です。生後5か月から鹿の生食で育ちました。鹿肉を食べさせ続けていると、ワンちゃん、ネコちゃんが年齢を重ねた時に恩恵を感じて頂けると思います。
イヌやネコの手作りフードを勉強されている人でしたら、そう難しくなく与えられる肉類でも、加工された総合栄養食しか与えたことのない人にとっては、最初は少しだけハードルが高く感じるかもしれません。
ですが、なるべくなら、中身の分からない市販のペットフードを与えるより、手作りフードを食べさせた方が良いです。ヒトの世界ではとても流通させられない粗悪な原材料を高温で過熱し、足りない栄養素を後から添加した加工食品よりも、愛情のこもった手作り料理の方が安心できるのは人間も同じです。
なるべく調理していない物(生食)をあげた方が良いといわれています。アメリカ、オーストラリアはもとより、近年では栄養学に先見の明がある国内のホリステック獣医師達も生食を推奨しています。
ペットのより良い健康について考えるならば、抗生物質など薬に汚染されていない生の骨付き肉(肉に対して骨15%)に、内臓(肉に対して10~15%)を加え、すりつぶした野菜と、その他の栄養補助食を与える「Barf(bone and raw food)」が理想的だと言っています。
特に生の骨は、犬や猫が必要とする栄養素(ビタミンB群の数種とメチオニン以外)を供給してくれます。メチオニンとビタミンB群の多くを補う生肉を、骨と一緒に与えることで、ほぼ完璧な栄養素の組み合わせとなるのです。
イヌやネコはヒトよりも蛋白質とカルシウムが多く必要になります。それらを心がけて多く与えるようにします。
けれども、あまり神経質に日々の栄養バランスにこだわることはありません。1日の中での栄養過不足は影響ないようです。
もちろん、バランスが良いに越したことはありませんが、毎日ではなく、体調に合わせて1週間内に栄養バランスを整えようと意識すれば、そう難しいことではありません。
バランスを考えると、「肉60%」、「内臓10%」、「骨15%」、「グリーン・トライプと野菜、その他を合わせて15%」を一緒に与えるようにします。
エネルギーのある肉や内臓、生の骨、野菜のペーストなどは味覚を養ってくれます。イヌやネコは味覚を感じる細胞(味蕾)が少ないと言われていますが、それでも味わって食べることで、舌や口内に触れる感触が脳を刺激してくれます。
食とは本来、食育とも言われ、食べることで五感を働かせ精神面を健やかに保ってくれます。それはヒトだけが必要とする感覚ではなく、あらゆる動物が生きる為に、食べて良いもの悪いものを判断するのに必要な自制心を養ってくれる感覚です。
生き物は自制心が養われないままだと淘汰され兼ねません。どのフードメーカーも、動物達の食育については命の根底の部分だと思って作って頂きたいのです。
食餌で最も大切なのが栄養ですが、並んで「かじる」、「奥歯で砕く」、「引きちぎる」という行為も重要です。動物にとって全身運動でもあり、情緒面を満足させることができます。
野生の肉食動物なら、狩りをして、その獲物を仲間などと引きちぎり奪いあって食べます。幼少期は肉や骨を噛み砕くことで歯の生え代わりを促し、ストレスも解消されます。
最近、アレルギーや癌などの外的環境の病気や遺伝病に加え、精神病のペットが増えてきています。ヒトと暮らす社会に生きなければならないイヌやネコにとって、こういった生の骨付き肉を与えた時に本能が満たされる満足感も必要なのだと思います。