2019年01月25日

■健康に不可欠な「オイル」の話【小野池ペット栄養管理士】vol.12

健康に不可欠な「オイル」の話です。皆さんは、愛犬や愛猫に良質のオイルを与えていますか?

オイルは細胞膜の原料です。元気でイキイキした細胞を作るのに、オイルは欠かせない栄養素です。必要なオイルを適量与えることで皮膚の状態が驚くほど良くなったり、涙やけが改善されます。特に不飽和脂肪酸は毎日食餌に入れてあげたい栄養素です。人間にも犬や猫にも必要な不飽和脂肪酸は、オメガ3(αリノレン酸)、オメガ6(リノール酸)、オメガ9(オレイン酸)の三つに大別されます。

まず、オメガ3についてです。オメガ3が多く含まれる食べ物にお魚(EPA、DHA)や亜麻仁油があります。オメガ3の摂取によって、細胞壁の構成に違いがでてくるほど重要なオイルです。メリットは、血管の弾力性を保持し、血液中のコレステロール値を正常化することにより、体内の血液の流れを良い状態に維持する作用があります。血液サラサラ効果、認知症回復効果、筋肉などの炎症抑制作用、腎臓機能のサポート、癌の栄養になりにくいことが知られています。デメリットは、オメガ3は酸化しやすいため、保存や与え方に注意が必要です。とても酸化しやすい脂肪酸なので、その保管には冷蔵保存が望ましく、低温下におくほど酸化から免れます。体内での酸化を防ぐために抗酸化力のあるビタミンEが消費されてしまいます。これを防ぐために通常はビタミンEも一緒に与えます。ソフトカプセルの空気に触れないサプリメントが便利です。また、オメガ3の摂り過ぎは前立腺がんの可能性を高める、死亡率が高くなる、出血しやすく止まりにくいという研究結果もあるので摂り過ぎはよくありません。

そして、肉や卵、乳製品に多く含まれるオメガ6のメリット、は角質バリアの維持に使われる大切な脂肪酸です。アラキドン酸は生体膜の流動性を高める役割があり、細胞は炎症を起こしにくくなってきます。デメリットとしては、逆に炎症を激化させる作用もあります。オメガ6のみを多量に摂取する食餌はアトピー性皮膚炎の症状の激化や関節炎の痛み、大腸炎では腸内層の腫れを引き起こすといわれています。オメガ3と6は、実は炎症を引き起こすと同時に、炎症抑制作用にも関与もしています。ですが、オメガ3とオメガ6の両方がある割合で一緒に摂ると、良い作用を引き起こします。それが、調整物質のプロスタグランジンとロイコトリエンです。

では、どの位の割合が良いのでしょうか。オメガ3とオメガ6の推奨比率は、人間では約「1:4」と言われています。では、ワンちゃんやネコちゃんには、どのくらい与えたら良いのでしょうか?海外のあるフードメーカーが犬のオメガ3とオメガ6の比率は「1:5~1:10」が望ましいと発表したのをきっかけに、この範囲が基準になりました。そして、いろいろな観点から犬の場合はオメガ3とオメガ6の割合を「1:5」とするのが良いのではないかと言われています。

猫に関しては、フードメーカーの中には「1:6」で配合していることもあります。この様な経緯からワンちゃんやネコちゃんの場合、オメガ3とオメガ6の比率は「1:5」もしくは猫は「1:6」と最近では言われてはじめました。ですが、厳密に言いますと、まだ犬や猫に与える比率は分かっていないのが現状でもあります。研究では、オメガ3とオメガ6の正確な比率が犬の健康のために非常に重要であることを示しているデータもあるそうです。

オメガ3の摂取は、犬にとっても免疫機能の向上として重要です。動物性、植物性のリノール酸(γ-リノレン酸)を充分に摂取することが必要となります。犬も体内代謝でリノール酸(γ-リノレン酸)をアラキドン酸に変換することができ、アラキドン酸は犬の皮膚や被毛を健康に保ち、正常な生殖機能をもたらしてくれます。また、体の成長、キズの治癒の促進、正常な肝機能のためにはオメガ6です。研究結果にも書かれているように、オメガ3とオメガ6はバランスが必要なのが分かります。オメガ3とオメガ6は、バランスよく、両方を同時に与えるのがポイントです。

オメガ9(オリーブオイル)もメリットはあります。栄養価も高く、ドライスキンのワンちゃん、ネコちゃんに与えることもあります。また胃酸を抑える働きもあるもで、胃酸過多の場合、少量与えます。また、腸内の悪玉菌と言われる細菌類の繁殖を抑えます。通常の健康なワンちゃんやネコちゃんは、オメガ9を食餌からも必要量くらいは自然と摂れるので、あえて与える必要は無いオイルと考えます。

今話題のココナッツオイル(中鎖脂肪酸)は、高齢のワンちゃん、ネコちゃんの脳や関節の働き、糖尿のケトン体治療など、特に加齢に伴う諸症状に良い働きがあるという研究発表がされています。また人間の場合、ダイエット効果や腸内細菌叢を整えるということも知られています。ですが、オイルなので、大さじ1杯で120kcalはあります。与え過ぎは痩せることはありませんし、ビタミンDが豊富なオイルですので腎臓に負担をかけてしまいますので、体重10㎏で小さじ2杯以下になるくらいにしてあげてください。

飽和脂肪酸の代表バターもおすすめです。バターには乳酸菌が含まれています。無塩バターをワンちゃんやネコちゃんに与えると腸内環境を整え、便秘予防やピロリ菌を減らす効果も期待できます。胃炎や胃潰瘍のように胃が弱いワンちゃん、ネコちゃんのケアにも使え、喜んで食べてくれるのが嬉しいですね。我が家では、無塩バターを湯煎で溶かし、ひと肌の温度にして、目に入れてあげることもします。ペロペロ舐めようとして少し大変ですが、インドの「ギー」の代用として、目の調子が悪い時、ドライアイの時に使用します。

この様にオイルごとにさまざまな機能性があります。重要な栄養素で健康維持に不可欠です。ですが、オイルは多く与えてしまうと、腎臓やすい臓へ負担がかかり、健康を損ねてしまいます。毎日、少量ずつ、割合がちゃんとしていたら効果的ですし、経済的です。ぜひ、不足しがちなオメガ3とビタミンEを中心にバランスよくご飯に混ぜて与えてあげてください。

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小野池智香

ペット栄養管理士 小野池 智香

愛玩動物飼養管理士1級 / 株式会社LIKE TODO JAPAN製薬 代表取締役 / 神奈川県未病産業研究会会員 / 日本乳酸菌学会会員 / 日本食品免疫学会会員 / フードメディシンネットワーク会員 / バッチ財団登録プラクティショナー(BFRP)