2026年09月15日

■夏の思い出 ———–ゴンドラに揺れながら————

畑作業をしていると涼しい風を感じるようになった。今夏は40℃越えの酷暑日こそなかったが、連日の猛暑で7月初旬から雨が降らない日が続いた。8月8日、33日振りに降雨。柏原観測史上無降雨最長記録らしい。カラカラに乾いた畑に水を遣るという労働が増えた。でも、その甲斐あって胡瓜や茄子、ゴーヤにトマト、ピーマンなどの夏野菜はそれなりに収穫できた。

そんな今年の夏、私はまた信州へ行く機会を得た。

7月15、16日所属している丹波自然友の会で信州栂池行き。ニッコウキスゲが満開らしい。昨年5月にも同じく信州鬼無里の水芭蕉を残雪の中に見てきた。

この歳になっての信州行きとは有り難いこと。孫娘にストックを借り、登山靴を履いてマイクロバスに乗り込む。参加者26名。最年長は84歳。最年少70歳。平均75歳という構成で、78歳になったばかりの私はお年寄り組。しかし張り切って長いバスの旅を隣席の女性とおしゃべりに花を咲かす。

初日は糸魚川の「フォッサマグナミュージアム」に立ち寄り、美しい翡翠や太古の化石などに見入る。その日の予定はそれでおしまいで宿へ。夕食のビールが美味い!

翌日は何と雨。これから山へ登るというのに。でも、誰かが言う。「山の天気は変わりやすい」それってニュアンスがちと違うようなんだけど・・でも実際その通りになった。ゴンドラとロープウェイを乗り継いで標高1,829mの自然園駅に降り立つと足もとから冷気がふきあがり、雨は止んでいる。有難や。

そしてここから徒歩で1時間ほど2つの湿原を巡っていく。

名前を聞いてもすぐに忘れる珍しい高山植物に足を止めながらひたすら歩く。

昨年の奥裾花自然園は残雪の中だったが、今栂池は夏の緑に覆われている。

ワタスゲ湿原まで来ると一面のニッコウキスゲの黄色。向かう山は白馬乗鞍岳、小蓮華山。こんな景色が見られて良かった。しかし脚はもう棒のよう。花どころではなくヒュッテでお昼の握り飯を食べ、さあ帰りましょう、となるとやれやれ。

ロープウェイからゴンドラに乗り継ぐ。ロープウェイは71人乗りで知らない人がいっぱいだけど、栂の森駅で乗り換えるゴンドラは6人乗り。丹波の会員だけ。「あ~やれやれですねえ」「花の名前は忘れましたねえ」とのどかだ。そのうち「近頃蛇を見かけんようになったね」と話題が飛ぶ。それはゴンドラ内6人が実感していて、「今年はまだ蝮を1匹も見てないな」とか「青大将はいつから見とらんやろ」とか。

「この間草刈りしていて刈払機で小さい蛇をちょん切ってしもたんです」と言ったのは私。「びっくりして家の者に言おうと帰ってる間にカラスが持って行ったのか亡骸が消えていた」

「そういうことありますな。食物連鎖や。僕はねこないだ蛇を助けたんですわ。畑に張っている鹿避けの網に蛇が絡まっていて、逃げようともがくほどくねくねとややこしなっとってね。助けてやろうと近づくと鎌首をもたげて脅してくる。あの長い身体が網に絡まるとちょっとやそっとでは出られない。そこで僕は鋏を取ってきて離れた部分から切り始めた。するとまた鎌首をもたげて脅してくる。怖いですよ、ほんまに。待っとけ、助けてやるからと言いながら網を切っていくうちに蛇がおとなしうなってきた。僕の意図をわかってくれたんやとちょっと感激しました。やっと網を切り開くと、自由になった蛇は勢いよく逃げていきました。」みんなが「凄い、善行ですね!」と口々に。「僕ね、その晩にちょっと期待しとったんです。蛇の恩返しで訪ねてきてくれるかなと。来ませんでしたわ」ハハハハハ。ゴンドラの中に笑い声が満ちた。ゴンドラで下山の20分間はこんなおしゃべりであっという間だったな。

そう言えば私が草刈り機で小さな蛇をちょん切った数日後、茄子の畝を長々と這い進んでいるシマヘビ(?)を見かけた。ちょっと胸が痛んだ。

ともかく今年も信州へ行き、旅のあれこれを思い出しながらこんな駄文を書いている。ありがたいな。